季節の中では秋が好きだった。

変化を好まない子どもだったのだ。

静かに暮らしたいと思っていた。

人に左右されずに、自分の意思を大切にして。

高校生のころ、とても夏が好きだった。

今も好きだ。

自分の季節のように思っていた。

どくどくと血が体中を巡っていく、その音が。

夏にだけ聴こえるその音が、生きていることを実感させてくれたから。

なんでかなあ、今は冬が待ち遠しい。

静かな時間が。

あたたかなものをこしらえて、あなたを待つ時間をいとおしく思う。

そういう女では、なかったはずなのだけれど。