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一年一度の恒例行事と化したお仕事探しを前に、履歴書を整理した。
履歴書をファイリングしてあるクリアファイルを取り出す。
その中からぽろっと落ちたもの、それは馬券。
正確に言えば勝馬投票券。
しかも今は無き、かみのやま競馬の紅花特別第8レース。
たった紙切れ一枚で、ぶわっと思い出がフラッシュバック。
上山へ向かう車中の会話だとか、その日の天気、つめたい空気のかんじ、せまいパドック、武豊が小柄だったこと、地元新聞記者に声をかけられたこと、芝生でお昼寝したこと、スタンドで変なポーズをする私を遠くから撮った写真のこと、夕日がきれいだったこと、井崎さんの解説が当たらなかったこと・・・。
当時つきあっていたひとと、おおらかで楽しい男友達と、三人であそびに行ったのでした。
正確には、ふたりのフィールドワークであるところの競馬場巡りに、ついて行ったのでした。
また秋がくるけれど、あのとき、こういう未来は想像もしていなかったな。
「大丈夫だから思うとおりにしなよ」
勝馬投票券をファイルに戻しながら、過去の自分にそう言ってあげたくなった。